ストリートダンス×ストーリーの融合舞台『* ASTERISK(アスタリスク)』再演2014.5.9〜5.11 全体的な感想
2014年5月9日〜11日に東京国際フォーラムホールCで上演されたストリートダンス×ストーリーの融合舞台『* ASTERISK(アスタリスク)』を観てきました。
この作品はちょうど1年前、2013年5月18日・19日に同じく東京国際フォーラムホールCで上演された『* ASTERISK(アスタリスク)』の再演です。私も初演を観に行きましたがものスゴい衝撃を受けた作品でした。
再演とはいえ、新しい出演者、新しい場面を加え、さらには上演前から新聞、テレビ、インターネットなどのメディアでも取り上げられ、いやが上にも高まりまくる期待感を胸に観に行きました。
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全体的な感想としては初演同様、いや、初演をはるかに超えて「スゴい!」「ヤバい!」「鳥肌立った!」「震えた!」「泣いた!」しか出てこないのですが、それだと全く伝わらないので、自分なりの言葉ですがどうしてそう感じたか書いてみたいと思います。
『* ASTERISK(アスタリスク)』とはどのような舞台か?
現在、国際ダンスフェスティバル、ライブやプロモーションビデオ、ダンスバトルやコンテストなど国内外で活躍し、注目されている日本のダンサー達。その中でも卓越した技術、オリジナルの世界観、人々を魅了する存在感を兼ね備えた最高峰のダンスグループが集結し、ひとつの物語を作りあげます。
あまり知られていませんが、日本のダンサーは世界的にレベルが高く、今回出演するダンサーの獲得タイトル数を合わせると100以上にもなるといいます。
出演者(グループ)は以下の通り。
- DAZZLE
- 仲宗根梨乃
- タイムマシーン produced by 黄帝心仙人
- 梅棒
- Vanilla Grotesque
- AFROISM
- BLUE TOKYO
- Think Tank Bang
- JIL Entertainment Gallery
- TATSUO
- 當間里美
- NAO
- MEDUSA
- 矢野祐子
- Koharu Sugawara
- UNO
- SAGGA FLIKKA produced by s**t kingz
総勢127名の世界に誇る日本のダンサーおよびグループが一堂に会し、極上のダンスパフォーマンスで一つの物語を作り上げる。それが『* ASTERISK(アスタリスク)』という舞台です。
そして物語を作り上げるうえで外せないのが「DAZZLEスタイル」です。
「すべてのカテゴリーに属し、属さない曖昧な眩さ」をスローガンに掲げ、比類ない世界観を持ち、独創性に富んだ作品を生み出し続けるダンスカンパニー。
ダンスにおいてはストリートダンスとコンテンポラリーダンスを融合させた、世界で唯一のオリジナルダンススタイルを創造。
舞台作品においては映像によるテキストで物語を紡ぎだす。
これは2011年4月に行われたDAZZLEの第5回公演『Re:d』のトレイラーですが、ダンスだけでなく小道具を使ったりダンサー自身による演技のパートもあることが分かります。
演技と言っても台詞を発することは無く、舞台奥のスクリーンに映し出される字幕や映像、ナレーションに合わせてダンサーが演技をします。
『* ASTERISK(アスタリスク)』もこのDAZZLEスタイルを踏襲した舞台で、各出演者のハイレベルなダンスパフォーマンスが楽しめるだけでなく、ダンスが各場面、物語全体に合うように、物語がダンスに合うように、ダンスと物語が両方とも引き立つように考えて作られています。
それにダンスと物語だけではなく、音楽、演出、構成、照明、衣装、小道具など舞台を構成する要素それぞれがハイクオリティで、しかもそれらがお互いを生かすように高いレベルで融合しています。
舞台を構成する各要素が掛け合わされることによって舞台の上に壮大な世界、物語が作り出され、それがストリートダンス特有のパワーやグルーヴと共に観客の心を震わせる。それが「スゴい!」「ヤバい!」「鳥肌立った!」「震えた!」「泣いた!」といった感覚につながったのだと思います。
すべての面でグレードアップ、融合が進んだ再演の舞台
再演を観て感じた初演との違い。それはダンス、音楽、照明など個々の要素がグレードアップしたこと、それぞれの要素がより溶け合ったことで全体としてより深みを増した、ということじゃないかと思います。
個々の要素のグレードアップ
再演も基本的なストーリーは初演と同じなのですが、初演と同じ場面であっても各チームともにメンバーも変わり構成も変えてより迫力を出してきているように思いました。
基本的に台詞のない舞台ですが、孤児院の場面で院長役のMIKEYさん、妹役の仲宗根梨乃さんが声を出して演技をする場面もありました。
音楽・音響も同じ場面の同じ曲、同じ音でもひと味違って聞こえました。照明もDAZZLEの舞台でも観られるような広い舞台の一部を切り取ってダンスだったり場面を際立たせる感じの照明で迫力がありました(このあたり専門家じゃないので外れてたらゴメンナサイw)。
そして新しい出演者。SAGGA FLIKKAは初演でs**t kingzが出演した窃盗団の場面で彼らの味を出していましたし、第1幕最後の看守の靴音の場面ではTATSUOさん、當間里美さん、NAOさんの新しいトリオで初演に続きアツいパフォーマンスで魅せてくれました。
第2幕では手術の場面でタイムマシーン produced by 黄帝心仙人の超絶パフォーマンスに息を呑みました。
新たに追加されたクラブの場面ではMIKEYさん、梨乃さん、MEDUSAさん、矢野祐子さん、Koharuさん、UNOさんのダンスだけでもスゴいのにさらにはポールダンスが入り、舞台後方ではクラブの客がいてメインのダンサーと絡んだりと濃い場面を描いていました。
梨乃さん、MEDUSAさん、矢野祐子さん、Koharuさん、UNOさんは終盤の見せ場、妹が目を失った場面のダンスも素晴らしかったです。
各要素の融合
初演が出来立てのカレーだとしたら再演はじっくり煮込んだカレー、という感じでより深みを増したように感じたのですが、具体的なポイントを挙げようとすると難しくて。
勝手な想像になりますが、東京国際フォーラムホールCに最高のダンサーを集めて1本のストーリーを描いたらこういう風になって観客にはこう見えてこういう反応が帰ってくる、というのがリアルに理解できたのが初演の舞台だったと。
で、そこから1年経って初演に出演したダンサーさんたちはより魅せられる作品を作り上げることができ、新しく加わったダンサーさんも初演を観ている方もいて、ある程度の共通認識が出来上がっている環境で無理なく『* ASTERISK』の中に溶け込めたのではないかと思われます。
あとは、これだけスゴいダンサーが集まっているのでお互いに触発される部分もあるんじゃないでしょうか。1本のストーリーを描くという共通の目標はありつつも他のヤツらには負けられねぇ、みたいな。これも勝手な想像ですが。
溶け込みっぷりということで言うと、仲宗根梨乃さん。DAZZLE、JIL、梅棒とユニゾンを踊る部分があるんですが、これ衝撃的でした。
初演でもユニゾンはあったんですがほんの一部で、基本的に梨乃振りだったと思うんですよね。それはそれで兄と生き別れた高貴な孤独感みたいなのがあって良かったんですが。
でも再演ではガッツリとユニゾンしててしかも見応えがあって。踊っていない部分も含めて梨乃さんこの舞台に完全に馴染んだなという感じがしました。この点が大きいのかもしれません。
ダンスを知っている人も知らない人も楽しめる舞台
以上、『* ASTERISK』再演の全体的な感想でした。各場面がとても魅力的なのですが、長くなってしまうので別の記事で各場面の感想を書いてみたいと思います。
ダンスがスゴいだけでなく物語も分かりやすく、ダンスを知らなくても楽しめる舞台なので機会があれば是非観て欲しいです。本当は生で見るのが一番!なのですが、発売になったばかりの初演のDVD、これでもどんな舞台か雰囲気は伝わると思います。
初演の際には第2弾の制作とDVDの発売が発表されていたのですが、今回はそういった告知が一切なく、今後の展開が気になるところです。再演もステキだったのでDVD欲しいなー。
再々演があるのか?はたまた新作ができるのか?どうなるか分かりませんが、また『* ASTERISK』のような素晴らしい夢のようなダンスの公演を観てみたいです!
参考:
- 『* ASTERISK(アスタリスク)』公式サイト
- 『* ASTERISK(アスタリスク)』ブログ
- 『* ASTERISK(アスタリスク)』Twitter
- 『* ASTERISK(アスタリスク)』Facebook
- PARCO STAGE | ASTERISK DVD発売中!|PARCO劇場|パルコ劇場
舞台『* ASTERISK(アスタリスク)』については以下の記事を書いています。
- 1幕の感想 〜 ストリートダンス×ストーリーの融合舞台『* ASTERISK(アスタリスク)』再演2014.5.9〜5.11
- 2幕の感想 〜 ストリートダンス×ストーリーの融合舞台『* ASTERISK(アスタリスク)』再演2014.5.9〜5.11
- ダンスで綴る壮大な物語 〜 ストリートダンス×ストーリーの融合舞台『* ASTERISK(アスタリスク)』を観てきました!