ダンスで綴る壮大な物語 〜 ストリートダンス×ストーリーの融合舞台『* ASTERISK(アスタリスク)』を観てきました!

ダンス

私は趣味でhiphopダンスを嗜んでいるのですが、今回、縁あって2013年5月18日(土)、19日(日)に東京国際フォーラム ホールCで行われたストリートダンス×ストーリーの融合舞台『* ASTERISK(アスタリスク)』を観てきました。

感想としてはただただ「凄い!」「ヤバい!」と言う他に無いのですが、どこが凄くてヤバかったのかできる限り書いてみようと思います。



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『* ASTERISK(アスタリスク)』とはどのような舞台か?

* ASTERISK(アスタリスク)ポスター

現在、国際ダンスフェスティバル、ライブやプロモーションビデオ、ダンスバトルやコンテストなど国内外で活躍し、注目されている日本のダンサー達。その中でも卓越した技術、オリジナルの世界観、人々を魅了する存在感を兼ね備えた最高峰のダンスグループが集結し、ひとつの物語を作りあげます。

『* ASTERISK(アスタリスク)』公式サイトより

あまり知られていませんが、日本のダンサーは世界的にレベルが高く、今回出演するダンサーの獲得タイトル数を合わせると100以上にもなるといいます。

出演者(グループ)は以下の通り。

  • DAZZLE
  • 仲宗根梨乃 + MEDUSA + 矢野祐子
  • s**t kingz
  • 梅棒
  • BLUE TOKYO
  • Vanilla Grotesque
  • JIL Entertainment Gallery
  • Think Tank Bang
  • AFROISM
  • 當間里美 + TATSUO + PINO

総勢100名以上の世界に誇る日本のダンサーおよびグループが一堂に会し、極上のダンスパフォーマンスで一つの物語を作り上げる。それが『* ASTERISK(アスタリスク)』という舞台です。

 

ダンスで物語を作る 〜 DAZZLEスタイル

ダンスの公演というと5〜数十分の範囲で各ダンサー、グループがそれぞれのダンスパフォーマンスを披露する、という形が多いと思います。今回の『* ASTERISK(アスタリスク)』では100名以上のダンサーが一つの物語を作り出します。一体どうやって?

その鍵を握るのはDAZZLE。

「すべてのカテゴリーに属し、属さない曖昧な眩さ」をスローガンに掲げ、比類ない世界観を持ち、独創性に富んだ作品を生み出し続けるダンスカンパニー。
ダンスにおいてはストリートダンスとコンテンポラリーダンスを融合させた、世界で唯一つのオリジナルダンススタイルを創造。
舞台作品においては映像によるテキストで物語を紡ぎだす。

DAZZLE Official Website より

これは2011年4月に行われたDAZZLEの第5回公演『Re:d』のトレイラーですが、ダンスだけでなく小道具を使ったりダンサー自身による演技のパートもあることが分かります。演技と言っても台詞を発することは無く、舞台奥のスクリーンに映し出される字幕や映像、ナレーションに合わせてダンサーが演技をします。

ストーリーがあることでダンスによって何を表現しているのかがより分かりやすくなり、ダンスによってストーリーをより分かりやすく伝えることができる。これによって観客により鮮烈な印象を与えることができるわけです。

『* ASTERISK(アスタリスク)』もこのDAZZLEスタイルを踏襲した舞台となりましたが、そのパフォーマンスは想像をはるかに超えたものとなりました。以下に舞台の各場面を振り返ってみたいと思います。

 

オープニングから鳥肌総立ち! 〜第1幕〜

鐘の音とともに舞台に組まれたセットの2階から1輪の花を手にした葬儀の参列者たちがゆっくりと降りてくる。雷鳴・・・

赤い幕や傘を駆使したDAZZLEのダンスとBLUE TOKYOによる新体操のダイナミックなコンビネーションで一気に観客を惹き付ける。

「雨はいつまで雨なのだろう・・・」ダンスが終わるとナレーションとともに幼い兄妹が父親の葬儀に参列する場面に。周りの大人たちに高価な服飾品を奪われる兄妹。スーパームーンを見つめながら19年後にまたこの場所で月を見ようと約束し合う兄妹。

身寄りの無い兄妹は孤児院へ預けられていく。孤児院の院長・MIKEY率いるVanilla Grotesque登場。20名以上のキッズたちによる一糸乱れぬキレキレの振りは怪しさ満点。院長MIKEYがさらに怪しさに拍車をかける。

怪しい孤児院に預けられた兄妹。やがて金で爵位を買った男爵に買われていく。男爵の屋敷へ向かう途中、奇妙なサーカス団に出会う。

奇妙なサーカス団、Think Tank Bang。Fukoに率いられ3頭のライオン(?)が登場。そしてFukoのスカートの中から奇術師シュウヘイはじめサーカス団員が登場。Fukoは肩車されているようだ。舞台袖からもサーカス団員が登場。

黄色のパンツに上半身は肉ジュバンに青いサスペンダー。白塗りのピエロメイクに髪も白っぽく染まった20名以上のサーカス団員がリボンやダンスの妙技で不思議なThink Tank Bangワールドへ観客を引き込む。

サーカスの奇術ショーに出たどさくさに紛れ逃げ出す兄妹。しかし途中ではぐれてしまう。

大人になった兄は孤児院で身に付けたスリの技術を利用し窃盗団のリーダーになっていた。窃盗団のメンバーはs**t kingz。コミカルなダンスとアクションが素晴らしくハマっていた。

窃盗団メンバーの罠にかかり捕まってしまう兄。一方、大人になった妹は社交界の注目の的となっていた。男爵に伴われパーティーへ。JIL Entertainment Galleryの20名以上のダンサーによる絢爛豪華なラテンダンス。JILメンバーの隙のないハイレベルなパフォーマンスに呼応するように妹・仲宗根梨乃もダンスで魅せる。

パーティーを途中退席し帰ろうとする妹。そこで新聞記者たちに囲まれる。DAZZLEの十八番、ボックスを使ったダンスに仲宗根梨乃が違和感無く溶け込んでいた。

留置場で手続きの順番待ちをする兄。この場面もDAZZLE得意の椅子を使ったダンスで物語を描く。

手続きが終わり留置場に入れられる兄。看守の足音が記憶を呼び起こす・・・

當間里美の火の出るようなタップダンス。それに応えて全身がバネかと思わせるようなTATSUOのハウスダンス。そして会場の空気を支配するPINOのハウスダンス。前半は音楽は無くタップに合わせる形、そして後半は音楽に乗ってタップとハウスによる圧巻のパフォーマンスで第1幕を締めくくった。

 

興奮冷めやらぬまま物語は佳境へ 〜第2幕〜

新聞記者に付き添われ幼い頃住んでいた屋敷跡へ向かう妹。

梅棒登場。今回の舞台のために自らが歌ったというJ-POPオリジナル曲でジャズダンスを披露。途中、ナマ歌も入り梅棒らしい楽しさ溢れるステージ。

たくさんの贈り物やプロポーズを全く寄せ付けない妹。

窃盗罪の罰金を支払えない兄は刑務所行きを逃れるため軍隊に志願する。DAZZLEによる椅子や長机を利用した独特のダンスによる面接シーン。

軍隊の面接を通過した兄。最前線の基地へ行くため駅に向かう途中、人々は新聞を食い入るように読んでいた。新聞では全身移植手術が始まったというニュースが。DAZZLEの新聞を使ったダンス。

全身移植手術を行う場面。DAZZLEの机を使ったパフォーマンス。手術が終わったところで妹が現れる。「手術費用について聞きたいのだけど・・・」

駅に到着した兄。他の乗客とともに列車を待つ。AFROISMが鞄を持ちながらのポップダンスで魅せる。

列車に乗り込んだ兄。最前線に近づくにつれ乗客が減っていく。「この戦争、勝ってるか負けてるか知っているかい?」「勝ってるんだろう。そう報じられている。」「本当は負けてるんだよ・・・」DAZZLEのダンス、列車の揺れをダンスで表現していて面白い。

軍隊に入隊した兄は次々と成功を収め、順調に昇進しついには部隊の指揮官にまで上り詰める。DAZZLEのダンスとBLUE TOKYOの新体操のコラボレーションで軍隊を表現。BLUE TOKYOは迫力ある連続バク転にバトンやロープを使った演技も交え圧巻のパフォーマンス。

全身移植手術を受けようとする妹。「・・・つまり売りたいと?」「私の身体で最も高価なのはどこ?」「あなたの目です。」手術を受け目を売った妹。仲宗根梨乃 + MEDUSA + 矢野祐子の迫真のダンスが素晴らしい。白と黒の衣装の対比も印象的。

部隊の指揮官になった兄だったが、奇襲作戦に失敗し部隊は壊滅。運良く命は助かったものの一族の誇りである指輪を奪われてしまう。DAZZLEのダンス。

19年の時を経てお互いに自分を証明するものを失いながらも再会を果たす兄妹。エンディングは仲宗根梨乃とDAZZLEのダンス。白い衣装と妹の笑顔が印象的。

 

舞台から押し寄せるハイレベルなダンスパフォーマンス

* ASTERISK(アスタリスク)フライヤー

以上、私の記憶の範囲で舞台を振り返ってみました。舞台の主要な部分を占めるダンスについては単体でも十二分に楽しめるもので、お金を払ってそれぞれのグループの公演を観に行きたいと思うくらいです。

特に第1幕の最後、當間里美 + TATSUO + PINOの場面は非常に素晴らしく、圧倒的なパフォーマンスは筆舌に尽くし難いものでした。「(當間里美 * TATSUO * PINO)3乗」くらい書いてもまだ足りないかもしれません。タップとハウスが自然にコラボレーションできるということにも驚きました。

もう一つ挙げると、BLUE TOKYOは新体操だけでなくダンスもそつなくこなすのが素晴らしかったです。バク転、バク宙など背丈より高い空間を自在に使えるのも彼らならではの特性で、これは視覚的にかなりインパクトがありました。

 

『* ASTERISK(アスタリスク)』が放つ独特のグルーヴ

* ASTERISK(アスタリスク)パンフレット

各出演者のダンス単体でも素晴らしく楽しめるのですが、ダンスが各場面、物語全体に合うように、物語がダンスに合うように、ダンスと物語が両方とも引き立つように考えて作られているのが素晴らしいところです。

それにダンスと物語だけではなく、音楽、演出、構成、照明、衣装、小道具など舞台を構成する要素それぞれがハイクオリティで、しかもそれらがお互いを生かすように高いレベルで融合しています。

これは先ほどDAZZLEスタイルの話で少し触れましたし、DAZZLE単体では既に何度も実現されているわけですが、1,500人収容の会場と100名超の出演者による様々なタイプのダンスによって表現の幅が飛躍的に拡大しています。これは従来のDAZZLEスタイルには無く『* ASTERISK(アスタリスク)』ならではと言えます。

舞台を構成する各要素が掛け合わされることによって舞台の上に壮大な世界が作り出され、それがストリートダンス特有のパワーやグルーヴと共に観客の心を震わせる。それが鳥肌が立ったり涙が出たり「凄い!」「ヤバい!」という感覚につながったのではないかと思います。

 

『* ASTERISK(アスタリスク)』はストリートダンス公演のビッグバン

100名以上のダンサーがストリートダンスをメインとして一つの物語を作り出した『* ASTERISK(アスタリスク)』。おそらくこのような公演は少なくとも日本では今まで無かったのではないかと思います。

私は趣味でhiphopダンスをやっていますが、今回の公演では今まで見たことのないタイプのダンスが多くとても楽しめました。そしてストリートダンスがもつパワーや多様な表現の可能性を感じることができました。

また、ダンスだけでなく物語も分かりやすく、一本の舞台作品として楽しむことができました。ダンスを知っている人だけでなくダンスを知らない人にも是非観てほしい作品だと思いました。

『* ASTERISK(アスタリスク)』はDVDの発売と第2弾の制作が決まっているようで今から楽しみです。今後このような公演が増えるのか、中学校の授業にも取り入れられることになったストリートダンスの活躍の場が広がるのかにも注目したいです。

 

参考:

 

舞台『* ASTERISK(アスタリスク)』については以下の記事を書いています。

 

 

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Posted by yoichi